チャンスは突然に

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「え……どうすんの?」 ヤツらは一旦見逃すとかなり面倒くさい。 下手をすると、見つからない可能性もある。 「一緒にいて、唯ぃ。一人にしないで」 「……」 それって、つまり―― 「泊まって行って……お願い」 「……」 必死な姫花には悪いが、唯は思わず生唾を飲み込んだ。 「いや、でも……親御さんがいない時に勝手にっていうのは……」 「誰もいない時こそ唯に一緒にいて欲しいのに」 唯の腕の中で小刻みに震えている姫花。 本当に、怖がっているようだ。 「……分かった。一旦、着替えとか取りに戻ってもいい?」 「やだ! 置いていかないで!」 姫花が唯から全く離れてくれないので、唯は仕方なく姫花を連れたまま、一旦自宅に戻った。 その際、姫花の所で泊まると父に伝えると、 「それはいいが……桐生先生のお嬢さんに、変なことするなよ」 するわけないだろ! と言い返したいところではあったが、着替えや勉強道具を入れたトートバッグの中に、密かにゴムの箱も一緒に入れたので、 「……っ」 唯は一瞬言葉に詰まった。 だが、酔っている父はそんな唯の様子に気付かなかったのが、救いであった。
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