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「唯、お願い。待って……んっ……」
唯の手の動きに合わせて、姫花の体が仰け反る。
「姫花のこと、まだ半分くらいしか充電出来てないから。明日も休みだし、まだいいよな?」
「やっ……鼻血噴いてた頃の唯が凄く懐かしい……」
なすがままにされているのが悔しくて唯を睨むと、
「俺は痛くて泣いてた頃の姫花よりも、気持ち良さそうに啼いてくれてる今の姫花の方が好きだよ」
唯は余裕たっぷりに妖艶な笑みを浮かべた。
結局、何年経っても姫花は唯には勝てないのだと悟って、
「……私は、今の唯も昔の唯も、比べられないくらい好きだもん」
ムッと唇を尖らせてそう告げた。
そんな姫花の唇に、
「やっぱり姫花の可愛さに勝てるものはないな」
唯は本日でもう何度目になるのか分からないキスを落とす。
「浮気なんか絶対にするわけないけど……やっぱり姫花切れした時が辛いから」
だから今のうちに、と小さく呟いた唯が、姫花の胸元に唇を寄せた。
チクッとした鋭い痛みに、
「んっ! 痛い!」
姫花は小さく悲鳴を上げる。
「姫花のこと狙う男がいたら、この印見せて」
言いながら、姫花の胸元にいくつもの所有印を刻む唯に、
「それなら指輪でいいじゃん! ねぇ!」
姫花は必死に訴えたが、その声は唯にはまるで届かなかった――
【Fin.】
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