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予約していた『パティスリー・トモ』の店で、姫花は大好きなイチゴショートを、唯はロイヤルミルクティープリンを食べて。
映画までまだ結構時間があるので、約束していたペアリングを探しにアクセサリーショップをハシゴしていた。
なかなか姫花のお眼鏡にかなうものが見つからず……ケーキ以外の計画が上手く進まなくて、姫花の元気が段々となくなっていく。
折角の唯との初めてのデートなのになんで……と暗い顔をしているであろう自分に嫌悪感を抱いていると、
「あ」
唯が、ふと一軒の店の前で足を止めた。
唯と手を繋いで歩いていた姫花は、自然と後ろに引っ張られる形となり、慌てて唯の隣まで後ずさりした。
「この石、姫花の目みたいで凄く綺麗」
唯が指を差したのは、ガラスのショーウィンドウの奥に飾られた、ロンドンブルートパーズと呼ばれる深い蒼色の石のネックレス。
店の看板を慌てて見上げると、どうやらここは天然石のショップのようだ。
「うん……確かに凄く綺麗」
海や空を連想する深い蒼色をしているのに、透明感もあってとても美しい石。
けれど、
「でも、別に私の目には全然似てな――」
似てないよ、と言おうとして、
「あ、そっか。姫花の目の方がずっと綺麗だもんな」
ニカッと笑った唯の言葉によって遮られた。
「え……」
戸惑う姫花の瞳を、唯はじっと覗き込む。
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