123人が本棚に入れています
本棚に追加
「宝石よりも綺麗だよ、姫花は」
「……っ」
急にそんな台詞を恥ずかしげもなく言うので、姫花の顔は真っ赤に染まった。
「この石が付いてる指輪を探そうか」
唯が、優しく微笑む。
「なるべく姫花そっくりの石を」
「……その言い方、何か変な誤解を生むよ」
まるで石の彫刻を指すような言い方をする唯に、姫花は苦笑した。
そんな姫花を見て、
「やっと笑ってくれた」
唯が嬉しそうに微笑んだ。
唯の言葉に、姫花の胸がズキッと痛む。
「……そんなにつまんない顔してた?」
「つまんないっていうか、悲しそうな顔してたから」
唯が、姫花の手をぎゅっと強く握り直す。
「中も見てみよう。ここなら、気に入るのあるかもしれない」
唯に手を引かれて、
「う、うん」
姫花は怖々と店の中に入った。
唯がすぐに店員にブルートパーズの指輪はないかと訊ねて、
「こちらです」
案内された商品は、細かい模様が刻まれたシルバーのリングの中心に、ロンドンブルートパーズが一粒だけ嵌め込まれた指輪。
石はとても小さなものだが、澄み切った深いブルーがとても美しい。
「どう? 姫花」
唯が、隣の姫花の顔を覗き込んだ。
「え……凄く綺麗で可愛いと思うけど」
最初のコメントを投稿しよう!