探してたあの子

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 あの時、4人で作った通話グループを遡り、智奈美の名前を探した。 『文通楽しかったね。最近はどんなものにはまってる?』  相手があの子だとわかってはいたが、違ったらどうしようと思い、美術室という単語は使わなかった。  友達の所は戻ったら、 「何変な顔してんの」  と言われ、思ったよりも返信を楽しみにしてる自分に気付かされる。少し照れながら 「ひみつー」  とにやけ顔で返した。  家に帰ると返信が来ていた。 『文通ってw美術室の机の事だよね? やっと気づいたんだw』  あの子はとっくに気づいてたみたいだ。なんだか弄ばれた感…。 『気づいてたんなら言ってくれればよかったのに』 『だって今学期に入ってから美術室の落書きされてないし席変わったのかなーとか、もうよくなったのかなーとか気にしてたら言う気失せちゃって』  智奈美も気にしてたんだ。止めてごめん。 『ごめん。席は変わってなかったんだけど、絵で返されると困っちゃうから』 『あー。確かに夏休み前誰かに邪魔されてたもんねー。私の絵じゃないのが何回か書かれて文章も消えてて見つかったかなーとは思ってた』  そうかあの時、智奈美は私に返信を書いてたんだ。けど、誰かがそれを消し、別の落書きをしていたのだ。それは私に嫌われたか、ばれて邪魔されたかと思う。 『そうだったんだ。ま、もう互いのこと認識できたし、美術室で落書きなんて必要ないね!!』 『えー楽しかったからまたやりたくない?』 『メールでいいじゃん』 『またあのおもむき深いを見たいなー』  智奈美のやつ私の字をずっとバカにしてたな!  でも、このくだらないやりとりが楽しくて今度は二人で遊ぶことにした。
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