人探し

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人探し

 会うとなると大変だ。この学校は1年生だけでも6クラスあり、見つけるためのヒントはほぼない。あるとすれば相手はとても絵が上手という事だ。以前机に何かのキャラクターかと思われる絵が描かれてあった。私にはなんのキャラかわからず質問していたことがある。 ーーすごい絵上手なんだね! なんてキャラ? ーーそんなことないよ(笑)いや…恥ずかしいんだけど、自作なんだ。 ーーすごっ!! イラストとか漫画とか書いてんの? ーー漫画は書けないけど、イラストをちょっと。ただの趣味レベルだよ。  あんなに上手い絵をさらっと趣味で流せる画力が羨ましかった。そして、その人が美術暇だなーとか言ってる私に付き合ってくれている事がうれしかった。  とりあえず、同じ学年という事はわかったのだ。他のクラスの友人に聞いてみることにした。その方法として、クラス合同で授業する体育の時にすることにした。いつもは自分の1組を応援したり、自主的に運動したり前のめりに授業を受けていたが、目的がある以上それはやめた。2組には同中の喜花(はるか)がいる。その子に聞き込みしてみる。 「2組に絵上手い人いる?イラストとか書いてるような人」 「知らない。てか愛佳、今日は応援しなくていいの?1組負けてるよ」  今体育でやっている種目はバスケだ。1組のAチーム対2組のAチームの試合をやっている。いつもうるさいくらいに応援してる私を不思議そうな目でみる。 「いーのいーの! 自分の番になったら頑張るから! どうせ1組が勝つんだし! おしえてよ」  と半ば負け宣言をした2組の子だと話してる事も忘れ、質問に詳しく答えてほしいとせがんだ。 「はいはい。そーですねーどうせ1組は運動神経いいけど2組は運痴ですよーだ」 「運痴とまで言ってないじゃん。いつも1組のほうが勝ってるから今日もって思ってるだけだし」  とフォローにもならない訂正をすると、 「イラストねー。人に見せびらかせるような人がいれば知ってるけどさ、そういう人って大抵陰キャじゃん? 美術とか頑張っちゃったり、ノートに落書きしてるんだとしても人のなんて見ないよ」  と結局肝心の質問もイラスト描く奴は陰キャなどと言われ、軽く流されて終わってしまった。先は長そうだ。
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