クラスカースト

7/10

103人が本棚に入れています
本棚に追加
/198ページ
「授業中なのにどうしたの?」 「それは…」 「濡れてるの?」 服部先生が駆け寄ってくる。 「髪も制服も濡れてるじゃない!」 「あのっ」 私は、心配そうにハンカチで拭いてくれる先生を見つめた。 先生は20代後半で、婚約しているらしい。 生徒たちに人気があって、いつも明るい笑顔で接してくれる。 まだ3年生になったばかりで、初めて受け持ってもらった。 もしかしたら──? そんな思いが私の頭をよぎる。 もしかしたら、この人はこれまでの先生とは違うかもしれない。 見て見ぬ振りをしてきた、今までの担任とは。 「なにか困ってることがあれば、先生に言いなさい」 「先生…」 「私はあなたの味方よ」 優しく肩を叩かれ、それを合図に目から涙がこぼれる。 味方なんていなかった。 カースト底辺に手を差し伸べてくれるひとなんて。 「あの、先生…」 「ん?」 「私、いじめられてるんです」 大きな塊を吐き出した。 「城田さんたちに、いじめられてるんです!」 そう告白すると、先生は柔らかく微笑んだ。 「そうだと思ったわ。でもね──」
/198ページ

最初のコメントを投稿しよう!

103人が本棚に入れています
本棚に追加