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『ピンポ~ン』とチャイムを鳴らす。
「はい」と落ち着いた声。
「誠?お姉ちゃん」
「ああ。姉貴。鍵持ってるだろ?」
「お客様も一緒だから」
「ああ。そんな事言ってたな。ちょっと待ってて」
『ガチャガチャ』鍵が開く。
「ただいま~」
「ああ。おかえり」大学生になって、すっかり大人の男になってしまった弟。
「日に日に愛想が悪くなってない?」
「そんな事ないだろ?普通だ」
「あっ、友哉くん。弟の誠です」
背が高く愛莉に似て美形だ。かなりモテるだろう。
「初めまして。高遠友哉です」
「…」何故か固まる誠。
「誠?何固まってるの?邪魔で入れない!」
「高遠さんって、『ラブフレ』の?」
「ああ。そうだよ」
「マジで⁉️」
「誠知ってるの?」
「知らない奴いる?俺達の高校の先輩で、一流大学に進学して起業した、超有名人じゃん」
「…」
「はあ?姉貴知らなかったの?」呆れた視線の誠。
「ハハッ。知ってくれてて光栄だよ」
「とにかく入ろうよ」まだ玄関のドアを開けた所だ。
「さあさあ、高遠先輩。入って下さい」
愛莉への態度が嘘のように、友哉には尊敬の眼差しを向ける誠だった。
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