7490人が本棚に入れています
本棚に追加
/169ページ
仕事終わり、ふたりは警戒してオフィスビルを出たが、今朝のように待ち伏せされている事はなかった。
諦めてくれたとは思えないが、ひとまずホッとする。
マンションに帰り、ふたりで夕食を取っていると友哉のスマホが鳴る。
「はい」
「友哉、今大丈夫か?」
「ああ。親父何かあったか?」
「無事入籍おめでとう。皆喜んで、盛り上がったよ」
「ありがとう。それを言うために?」
「いや、小柳さんから苦情の連絡が入った。俺の息子の態度が悪いらしい」
「…。自分を棚に上げてだな」
「ああ。こちらも、丁重にお断りしといたけど、全く聞く耳持たずだったよ。本当は、結婚したと言えたら良かったんだけど、まだ公表しないんだろ?」
「ああ。愛莉を危険にさらしたくないしな。悪いことしてるわけじゃないから、落ち着いたらちゃんと結婚式もしたいし、今が時期じゃないだけだ」
「わかってる。くれぐれも、気をつけてくれ」
父親からも忠告の連絡が来るくらいだ。相当ややこしい相手なんだろう。
最初のコメントを投稿しよう!