ペンローズの階段は、どこまでも

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 そこから別の問題に取り掛かる。  パターンが分かれば数字が異なるだけだ。引っ掛け問題につまづきながらも、基本的な解き方は理解できている。  一通りやり終えると、光希と答え合わせを行う。間違っていた所を二人で考え理解した上で回答を導き出す。  途中、小休憩を挟みながら、そんなことをして繰り返していると、午後11時8分になっていた。  単純に4時間は勉強したが、この異様な空間に居るせいか、不思議と空腹や乾きを感じることはなかった。 「ウチ。こんなに長時間勉強したんは初めてや」 「僕も。由貴の言うように僕もより理解できたよ。さて、十分に勉強できたし階段を降りてみようか」 「せやな」  由貴は教科書とノートを片付けると、二人は再び2階に降りる階段に立った。  暗い空間が下へと続いている。  改めて見ると、まるで奈落に通じるようだった。 「行こうか」  光希の呼びかけに由貴は不安なものを含んだ口調で応じると、二人は階段を一段一段降り始めた。 「なあ光希」  由貴は呼びかける。 「ん?」 「もしまた3階に逆戻りしたらどないする?」  光希は少し考えて口にする。 「また勉強しようか」  その答えに由貴は笑う。 「真面目なやっちゃな。ウチらもしかしたら、永遠にここから出られへん可能性もあるんやで。テスト勉強なんて意味ないものになるし。ウチ謝りきれへん」 「どうして?」  光希は足元を照らしつつ訊く。  由貴は脚が止まり、少し呆然とする。恨み節の一つも言わない光希に。
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