0人が本棚に入れています
本棚に追加
ところでボランティアの中に一人、俺に特に積極的に話しかけてくる男がいた。にやにや笑いをうかべているそいつを、正直俺はなんとなく気に入らなかったのだが、上辺では普通に接していた。
お祭りは成功に終わり、あの家のオヤジと言葉をかわすことができたので、俺も満足だった。その男のことを除けば。
その後、俺はますますあの家を覗くのが楽しみになった。家の中でささいないさかいがあった日のあとなど、俺は人知れず彼らに優しい気持ちになったりした。
ところであの、お祭りのときに俺に話しかけてきた男も、その後近所でよく見かけるようになった。するとやっぱりあのにやにや笑いを浮かべて、こちらを見ているような気がするのだ。特に妻とケンカをした翌日など……。
了
最初のコメントを投稿しよう!