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花金? 聞きなれない言葉に、ひよりは首を傾げる。気づいたらなくなっていたプレミアムフライデー、いわゆるプレ金とは違うのか。
「花金世代の先輩方がいるからね」
中館が軽く肩をすくめる。
花金。あらゆる話題に強い福子なら知っているだろうか。後で聞いてみようと頭の片隅にメモする。
中館さん、と亜咲が遠慮がちに声をかける。
「礼音くんのこと、何か聞いてますか?」
「何かあった?」
「礼音くんと仲がいい貴也くん、覚えてます?」
「今度、結婚する貴也?」
「そうです。その貴也くんが、礼音くんと連絡がつかなくて心配してるんです。礼音くん、昔ちょっと……」
「あぁ……。俺は何も聞いてないけど、あとで近藤さんに連絡取ってみるわ。ほかに誰か、礼音と連絡取ってそうな人は?」
亜咲はゆるゆると首を振る。
「わかった。礼音のことは、俺の方でも気を付けておく。温かいうちに食べな」
中館に促されて、亜咲がお椀に口をつける。連絡がつかない礼音を気にかけているのか、その表情はさえない。
「貴也の結婚式、レストランウェディングなんだね」
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