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『今どこにいますか?』
折りたたまれていた紙を開いた時に、最初に目に飛び込んできた文字である。
エアコンの効いた室内にいるのに、千優の額にはじっとりと汗が浮かんでいた。
むう、と口を尖らせて、ビンにしっかりとはまっていたコルク栓を四苦八苦しながらも抜いたばかりだった。
ビンを逆さにして取り出した中身は、紐で括られた筒状の紙。全体が象牙色に変色して、端がうっすらと黄褐色に染まっている。
丸みのついた癖をそっと伸ばしながら、ゆっくり、ゆっくりと丁寧に開いていく。
四角く折りたたまれていた紙は、一枚の便箋だった。
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