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地平線の橙色と空の薄暗い灰色とがグラデーションになって、辺り一帯に淡い光を放っている。
今は、おそらく18時半前後だろうか。
スマホは自宅に置いてきてしまった。
達はまだ夢の中かもしれない。
「たっちゃん、二ヶ月は長いよ。待つけどね」
「けど……やっぱり寂しいな」
口に出したら心の中が温くなったような気がしてしまって、千優はコーラルピンクに彩った唇をきゅっと噛みしめた。
呟いた言葉は海風に乗って、やがて波音に消えゆく。
達と会える日は、ガーネットのネックレスを着けていこう。
そして、とびきりのお洒落を。
ゆっくりと双眸を閉じたら、瞼の裏側が熱くなった。
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