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波の動きを見ているうちに砂浜へと降り立ちたくなって、波打ち際から少し離れた場所をゆっくりと進む。
緩やかに寄せる波が、サラサラと砂をさらっていく。耳を撫でるその音が心地良い。
日傘を差して浜辺を歩くなんて、なんだか女優みたいじゃないかと思った。
千優は目を閉じて大きく息を吸い込んだ。
すると、鼻孔に届く潮の香りがぐっと濃いものになる。達は毎日、この海に囲まれた環境で仕事をしている。
なかなか会えない恋人のことを思って、同じ海にいると考えたらずっと距離が近くなったような気がした。
形はないけれど、さまざまに姿を変える波を見ながら気分良く歩みを進める。何歩かを踏み出した時、コツンと何かが当たる感じがした。
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