たゆたう便り

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切なくて行き場のない想いに、読んでしまって申し訳なかったという思いが先に立ち、千優はハッと息を呑んで手紙を裏に返した。 宛名も差出人も書かれていないとはいえ、大事な手紙である。綴られた時の心境は計り知れない。 そうは言っても、恋人と離れる辛さは痛いほどよく分かる。 達とは家が近所で、いわゆる幼なじみの関係だった。 幼稚園の頃から「たっちゃん」「ちいちゃん」と呼び合って、ずっと近くにいた。関係が変化してからは呼ばれ方が少しだけ変わったが。
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