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子供は手足を拘束し、目隠ししてある。 今、俺の横に座っている。 さっきから浮かぬ顔でうなだれている。 俺は子供の顔を手で押し上げて、前を向かせた。 「おい、しっかりしろ!」 俺は子供に怒鳴りつけた。 すると仲間の1人がこっちを見た。 「大丈夫か?その子?」 奴は心配そうにそう言った。 「大丈夫だよ。ビビッてやがるだけだ」 「それにしても…。子供に怒鳴るなよ。怖がるだろう」 奴はそう言って俺を咎めてきた。 「ふん!」 ちょっとムカついて俺はそう言ってから、席を離れた。 代わりに奴が子供の隣に座り、 「お腹すいてないか?」 と甲斐甲斐しく聞きながら、カバンから菓子パンを取り出して子供に食べさせた。 俺は苛々しながらタバコをふかした。 金の受け渡しのことで少し気が立っていた。 「金の件、大丈夫かな?」 さっき誘拐の電話をかけた仲間が、不意に俺にそう聞いてきた。 「大丈夫だろう。だが油断は禁物だ」 俺はそいつを睨んでそう言った。 「そ、そうだな。じゃあ計画通りに話を進めるぜ」 「ああ」 さあ、本番はこれからだ。 まずは何としても金だ。
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