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これで誘拐は完了した。
後は身代金を手に入れることが急務だ。
手筈は整っている。
仲間の一人が電話をかけた。
「もしもし」
「はい、もしもし、胡桃沢ですが?」
「奥さんかご主人はご在宅かな?」
「はい、しばらくお待ち下さいませ。失礼ですが、どちら様ですか?」
「知り合いの者です」
「は、はい…お待ち下さいませ…」
間
「お電話代わりました。あの、どちら様ですか?」
「息子さんを預かった」
「はい?」
「お宅の息子さん、幸太君を預かった」
「あ、あの…」
「返して欲しければ5000万用意しろ」
「え?!」
「警察には連絡するな。連絡したら息子の命は無いと思え」
「わ、わかりました」
「金はいつ用意出来る?」
「5000万なんて大金、すぐには…!」
「嘘をつけ!下手な真似をすると息子の命はないぞ」
「いえ…その」
「明日また連絡する。金は用意しとけよ。それじゃあな」
奴は電話を切った。
出だしとしてはまあまあの出来だ。
金は必ず手に入れる。
何が何でもだ。
そのためには、何だってやる覚悟は出来ている。
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