しんちゃんとおやすみうさぎ

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しんちゃんとおやすみうさぎ

 おやすみうさぎは、しんちゃんの宝物です。大きなうさぎのぬいぐるみで、耳にイチゴをつけています。しんちゃんが赤ちゃんのころ、おばあちゃんがくれたのです。  しんちゃんはこのうさぎが大好きでした。お出かけの時もご飯の時も、お風呂に入る時のほかは、しんちゃんはいつだってうさぎと一緒でした。もちろん、眠る時もです。  少し前まで、しんちゃんはママと一緒に寝ていました。けれど、今は一人で寝ています。本当はママと一緒に寝たいのですが、ガマンをしていました。なぜなら、しんちゃんはもうすぐお兄ちゃんになるからです。  はじめて一人でお布団に入った夜、しんちゃんは怖くて眠れませんでした。すぐ隣の部屋にママがいるのに、ひとりぼっちな気がしたのです。しんちゃんがぎゅっとうさぎを抱えると、腕の中のうさぎがとても優しい声で言いました。 「おやすみ、しんちゃん。いいゆめを」  その声を聞いているうちに、しんちゃんはすやすやと眠っていました。  それからというもの、しんちゃんは夜が怖くなくなりました。風が強い時には、うさぎをぎゅっと抱えます。するときまって、うさぎはこう言ってくれるのです。 「おやすみ、しんちゃん。いいゆめを」  しんちゃんは、おやすみうさぎのことが本当に大好きでした。
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