楓花と森、万里の長城で出会う

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放課後、楓花は意気揚々と部室棟に向かった 今から向かうところは、楓花がこの学校に転入を決めた理由の100%を占める 「こんにちはー」 楓花は臆することなくドアを開けた 「こんにち…は?」 部室には男子生徒がいた 楓花は一度廊下に出て部室のプレートを確認した そこにはしっかりと”生物部”の文字が掲げられていた 「ここは清白学園の生物部であってる?」 楓花はもう一度部室内を覗いて、男子生徒に聞いた 「もちろんだよ」 男子生徒は優しく微笑んで、楓花に椅子を勧めた 「他の部員ももうすぐ来るよ。委員会や掃除当番があって皆来るのマチマチなんだ」 「はあ」 楓花は勧められた椅子に座った 「えーと…ところでなんで女子校に男がいるの?」 男子生徒はペットボトルの蓋を開ける手を止めて 「君、転校生?」 と聞いた 楓花は頷いた 「いつ転校してきたの?」 「昨日」 「じゃあ、生物部のことを知ってて来たんだよね?」 「もち」 楓花は胸を張って言った 「ここの生物部は全国高校研究発表会で何度も最優秀賞を受賞してい て有名だからな」 「そこまで知っているのに男がいる理由は知らないんだ」 男子生徒はなぜか呆れ顔で 「ここの部は尾花と合同なんだよ。他にもいくつか許されている部はあるけど」 男子生徒は首にかけた入校証を見せた 「おお…」 楓花は入校証に見入った 入校証には”戸隠古都哉”と書かれていた 「トガクシコトヤ?」 「尾花の二年だよ。君は?」 「安西楓花。同じ2年だ。よろしく」 楓花が手を差し出すと、古都哉は控えめに指先だけ握った その時、ガヤガヤと廊下をやってくる生徒たちの話し声が聞こえた 「おはー!!」 数人の生徒たちを従えた先頭の女子生徒が、片手を上げて元気よく入って来た 「部長。入部希望者来てますよ」 部長と呼ばれた女子生徒の雰囲気に飲まれることなく、コトヤは冷静に切り返した 「わお!嬉しい!かわいい女の子大歓迎!」 【部長】が楓花の隣の椅子に座り、距離をつめてきた 「何が好きなの?ここで何がしたい?」 真っ直ぐに自分を見てくる【部長】の眼差しに、楓花はうれしくなった 「はい!コン…」
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