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意外とかわいいんだ...と、鞘のほうは刀冶に対して思った。
鞘には同性愛的なものは無かったが、刀冶のことは気になっていた。
自身の顔立ちや細さを軟弱だと感じていたので、高三の17歳にして
172センチの鞘よりも背が高く、キリッとした顔立ちで少し長めの髪で、
男前タイプの刀冶が、鞘にはうらやましかったのだ。
大人になったら、もっと男らしくなるんだろうな......と。
刀治もまたノーマルではあったが、1年前、住まいの隣に引っ越してきた
鞘を見かける度に、綺麗な人だな......と、思っていた。
細身のスタイルでシュッとした端整な顔立ち、サラリとした前髪を
センター分けにして、銀色のフレームのメガネをかけている。
鞘は綺麗どころタイプの美青年なのだ。
その美しくカッコイイ隣人が、高級そうなコートやメガネの奥に
こんなにも疲れを貯め込んでいることを、気の毒に思えてしまった。
「部屋に帰りたくないなら、うちに来ます?」
刀治はつい、そう言ってしまっていた。
「は?」
「あ、変な意味じゃないっすよ。うちで家族と一緒に夕飯でもどうかと」
それはどうとらえても様々な意味で変だと、鞘は思った。
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