第1章[鞘と刀治]

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意外とかわいいんだ...と、鞘のほうは刀冶に対して思った。 鞘には同性愛的なものは無かったが、刀冶のことは気になっていた。 自身の顔立ちや細さを軟弱だと感じていたので、高三の17歳にして 172センチの鞘よりも背が高く、キリッとした顔立ちで少し長めの髪で、 男前タイプの刀冶が、鞘にはうらやましかったのだ。 大人になったら、もっと男らしくなるんだろうな......と。 刀治もまたノーマルではあったが、1年前、住まいの隣に引っ越してきた 鞘を見かける度に、綺麗な人だな......と、思っていた。 細身のスタイルでシュッとした端整な顔立ち、サラリとした前髪を センター分けにして、銀色のフレームのメガネをかけている。 鞘は綺麗どころタイプの美青年なのだ。 その美しくカッコイイ隣人が、高級そうなコートやメガネの奥に こんなにも疲れを貯め込んでいることを、気の毒に思えてしまった。 「部屋に帰りたくないなら、うちに来ます?」 刀治はつい、そう言ってしまっていた。 「は?」 「あ、変な意味じゃないっすよ。うちで家族と一緒に夕飯でもどうかと」 それはどうとらえても様々な意味で変だと、鞘は思った。
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