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元気そうでよかったです。
小さな手紙に、数えられる程度の言葉である。私はそれを、何度も何度も読み返した。
どうしよう。
何だか、じわじわと、うれしい。
まるで私自体の存在が、祝福されているようである。
一体どのタイミングで、胸ポケットに入ってくるのだろう。放送委員の時くらいしか考えられない。放送委員の誰かが、プリントにまぎらせているとか? 例えば、私に、恋心を抱いて?
うそぉ。うふふ。
とつい顔がほころんでしまう。
それにそもそもこの紙も変だ。声を文字にして貼り付けられる紙など、あるのだろうか。まして胸ポケットから差出人のところまで、一人で歩いていく手紙など。何らかの発明品の、試作段階だったりするのだろうか。
だとすると差出人は、実は生徒ではなく教師である可能性もある。あるいはどこかの大学の、研究者だったりして。
だとすると超絶賢くて、ちょっと無口で、クールさの中に熱い愛情を閉じ込めた、コーヒーヌガーのチョコレートみたいな、すてきな人、だったりして。
「ひえー」
と愛があふれ出しそうになり、思わず口をつぐんだ。貴重なやり取りを、こんな感嘆詞で埋めてはならない。
私は今度はきちんと下書きを書いてから、便せんに向かって読み上げた。
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