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胸ポケットにしまいかけて、ふと、また取り出す。
あなたは今どこいるのですか?
と、付け足した。
そしてまた胸ポケットに入れた。
そして、また一週間後。
僕はあなたといつも一緒です。
あなたの幸せを祈ります。
という手紙だった。
いつも一緒?
いつも?
でも、ここは私の部屋であり、ここには私しかいない。
ユーレイ……?
まさか。
私は今までの人生で、一度もユーレイに出会ったことはない。
きょろきょろと部屋を見渡すが、何の気配も感じられなかった。
何か、比喩的な表現なのだろうか。ストーカーとかじゃ、ないだろうな……。
考え出すとやはりちょっと怖くなった。だから今度は、返事を返さなかった。だから手紙は、結局それきりになってしまった。
それから月日は流れ、色々あって、私は放送委員のけんけんと恋人どうしになった。勉強も頑張ったので、無事志望校にも合格できた。けんけんと同じ高校だ。楽しみすぎる。
三月だというのに日差しは早くも温かく、芽吹いたばかりの木々は輝いて、あたかも新しい季節を祝う前夜祭のようだった。
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