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「ねえ、目を開けて。窓の外を見て!」  六花(りか)は二人の肩に手を置き、窓の向こうの景色を確認させる。なんと驚いたことにさっきまで晴れていた空からしんしんと雪が降っている。 「……嘘だろ」 「六花さん、一体なにを」 「たまたま降ってきたのよ」 「いや、たまたま雪は降らないでしょ」 「まさか、なにか怪しい術を」 「ちょっと、なに? やめてよ。まだあたしのことなにか疑ってるの?」 「うーむ」 「そんなことより、いいこと思いついたの。あたしがいまから秋穂を玄関まで連れだす。その隙にあなた達は秋穂のバッグを探るの」 「……それは名案だけど」 「いまは揉めてる場合じゃない、急ぐわよ」  わだかまりは残しつつも手短に作戦会議を終えた三人は急いで行動に移す準備をする。「じゃあいくよ」と声を掛け、まずは六花がおもむろに立ち上がった。 「秋穂、外見て」 「ん?」 「雪よ、雪!」 「何言ってるのよ、まだ秋なん……」  テーブルに広げていたPCから顔をあげて外の景色を見た途端、秋穂の表情は凍りついた。六花は間髪入れずに畳み掛ける。 「ね、ちょっと玄関まで出てみようよ」 「なにこれ、嘘でしょ」  慌てて立ち上がり、玄関までやってくる秋穂。六花はその背中を押すようにして外に向かう。少年たちがカウンター裏からテーブル席に向かうのを流し目で確認してから外に出た。 「すごい降ってる」 「ほんとね」  ぽかんと口を開けて、降りしきる雪を見つめる秋穂。六花と秋穂はそのあともしばらく、みるみるうちに積もっていく雪を玄関先でただ呆然と見つめていた。
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