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『スタート地点に発信機がある。これを持てば、ターゲットを一人殺す度に、ランダムに一人、次のターゲットの位置が表示される。これを十分以内に発見、確保せよ。もし‥‥‥』
携帯に表示されているその部分だけを読んで、智成と美桜は携帯を閉じた。一人を殺めるのにもまだ躊躇しているのに、二人目のターゲットの位置など知る必要もないからだ。
間髪入れず、二件のメールが着た。一件目は運営から。
『おめでとうございます。只野夫妻がアイテムをゲットしました』
そして、二件目はこの只野夫妻の夫からだった。
『今、どこにいますか?私達がアイテムをゲットしました。必要な方には差し上げますので取りに来てください』
最後までゲームへの参加を渋っていた只野は、一斉送信でそのメールを送ってきた。
暫く画面を見ていたが、誰も返信しない。おそらくあの鬼頭夫妻でさえも、わざわざスタート地点にまで取りに行くのは面倒なのだろう。
『取りあえずそちらで保管しておいて下さい。必要であれば取りに行きます』
気の毒に思った智成はそう返信して携帯を再び閉じた。
この時、指令の真の意味を知ったのは只野夫妻だけだった。この夫妻以外の誰もが、メールを最後までスクロールして確認していなかったのだ。
彼等はまだ、このゲームの真の意図を知らない。
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