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二度目の指令
智成と美桜は五件目の店内を探索していた。すでに開始から二時間経とうとしている。そんな中、二度目の指令がメールで送られた。
『イベント会場の真ん中にアイテムを置いた。ターゲット捕獲後にそれをかざせば、貴方がたに変わって私共がターゲットを始末します。もちろん賞金は差し上げ‥‥‥』
これを読んだ智成と美桜はすぐに中央のビルに走った。自らの手で人を殺めないで済むならいいと判断したからだ。二人は賞金が欲しい訳ではない。ただ、全員を殺さないとゲームが終わらないというのに、自分達が何もしないという事に引け目を感じていたからだ。
『今、どこにいますか?どなたか指令をクリア出来そうな方はいますか?』
一斉送信でメールを送ってきたのは、只野という、最後までゲームへの参加を渋っていた夫婦の夫のほうだった。
只野は運営からの指令の度にメールを送信してくる。
そして決まって返事をするのは、中沢智成・美桜夫妻だ。
『まもなく私達がクリアできますので、ご安心ください』
送信した後、二人はあきれ顔で携帯画面を睨んだ。自分でクリアすればゲームに有利なのに、と思いながら。
それでも、こと指令に関しては智成と美桜は有利な立場にいた。言葉だけの指令で、そこがどこなのか分かるからだ。
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