三度目の指令

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三度目の指令

 緊張から解き放されたのか、ずいぶんと長い間、智成と美桜はそこで休んでしまっていた。だが、いつまでもそうしてはいられない。  三階はガランとしていて、隠れるようなところもないので、二人は二階に降りた。映画館の中を一通り探索し、誰もいない事を確認した後、美桜は受付の裏を覗き込んだ。 「ひゃっ!」  売店を覗いていた智成が、美桜の短い悲鳴に反応してすぐにそこへと向かった。そこにはターゲットの一人がいた。  しりもちをついて動けないでいる美桜の横を抜け、智成はターゲットと対峙した。ターゲットは智成の脇から逃げ出そうとしたが、智成が右手を伸ばして触れただけで、ターゲットはその場に倒れ込んだ。  すぐにゲットしたアイテムを天にかざし、運営に確保アピールをする。  二分程でゲームの説明をしたのとは違う黒ずくめの男が現れ、アイテムとナイフを智成から受け取ると、無表情のままターゲットにナイフを突き刺した。    鮮やかな鮮血が周囲に飛び散ったが、黒い服ではその色には染まった事は分からない。手の色だけを赤に変えた男は、絶命している事を確認して、ゆっくりとナイフを抜き取るとそれを智成に返し、無言でその場を立ち去った。
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