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「以上ですが、何かご質問は」
黒ずくめの男がそう言うが、突然の事に、誰もが何を聞いていいのかさえ分からず口を噤んでいた。
だが、そんな静寂を破るように、参加者の女の一人が口を開いた。
「お、おかしいじゃないの」
その声は明らかに怯えに満ちていた。
「何がですか?」
「だ、だって、これは『ケーキ入刀ゲーム』だって‥‥‥」
黒ずくめの男は、クックックと笑いながら答えた。
「失礼、その御説明がまだでしたね。でも、勘違いなされてるようですが、これは『刑期無き者に入刀をゲーム』略して『けーき入刀ゲーム』なのですよ。まあ、刑期のある者にも入刀して頂きますがね」
その後に続く黒ずくめの男の低い声がそこにいる者ほぼ全員の心を凍らせた。ただ一組、初めの説明で雄叫びを上げた夫婦を除いて。
「ターゲットを殺す時は、一本のナイフを夫婦で持ち、お二人で心臓に突き刺してください。そう、結婚式でのケーキ入刀の様に、お二人の共同作業です」
中には泣きだす者まで出始めたが、一向に構うことなく男は続けた。
「皆様とターゲットの様子は、虫型ドローンで常に追跡させて頂きます。そして、皆様のご活躍は賞金を出された被害者様全員に配信させて頂いております。ターゲットはどこに隠れているか分かりません。皆様、ターゲットを発見、捕獲し、是非被害者の皆様の恨みをその手で晴らしてあげて下さい。それではスタートです」
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