#022

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#022

突然何を言い出すのかと思えば――。 ミントはリョウガに向かって、自分を帝国へ連れて行ってほしいと口にした。 ブレシングはわけがわからず、彼女の肩を思いっきり掴んで怒鳴り上げる。 「こんなときにいきなり何を言っているんだッ!?」 「痛いッ! 離してくださいッ!」 思わず掴んでいた手に力が入るブレシング。 その手を払ったミントは彼のことを睨みつけると、再びリョウガのほうへ視線を向ける。 そして、彼女はブレシングに向かって不機嫌そうに口を開く。 「あなたは怪我人とそこの仔羊を連れて下がってください。私にはやることがあるんです」 「何がやることがあるだッ! 君が何をするつもりかは知らないけど、敵の主に会わせろだって!? そんなの放っておけるはずないだろうッ!?」 「いいから私に構わないでッ!」 そんなブレシングとミントのことを見下ろしてたリョウガは、退屈なのか、口を大きく開けてあくびしている。 そんな彼を一瞥したブレシングはジェットパックを起動。 リョウガのいる上空へと飛んでいく。 「何をするつもりですかッ! あなたは早くこの人たちをッ!」 「それはこっちの台詞だよッ! さっき言ったように、君はエヌエーさんとニコを連れて逃げてくれッ!」 「ちょっと待ちなさいッ! 私の邪魔をしないでッ!」 喚き続けるミントを無視して、ブレシングは上空にいたリョウガと向き合う。 再び対峙した二人。 リョウガは両腕を組んだままブレシングに訊ねる。 「で、いいのかブレシング。なんか始まってたみたいだが?」 「中尉殿の次は名前呼びか……。馴れ馴れしい奴だな」 こちらを見ているだけで手を出して来なかったリョウガ。 そんな余裕を見せる敵に、ブレシングは苛立っていた。 だが、それもしょうがない。 マシーナリーウイルスの力を持つリョウガから見れば、自分など一兵卒と差がないのだ。 (苛立ったって何も変わらない……。落ち着け……。勝てないまでも彼女がこの場から離れるまでの時間くらいなら稼げる) その気になれば、すぐに自分を片付けられると思っているリョウガには油断がある。 ブレシングはそう思うと、自分から仕掛けることはせずに銃剣を構える。 「まあ、オレは何がどうなってもいいけどさ。とりあえず目的はほぼ達成してるし、時間もまだある。さあ、遊ぼうぜ、ブレシングッ!」 リョウガは腰に収めた柄を取り、再びピックアップブレードの光の刃を出した。 それと同時に、彼の周囲に浮いていた二つの円形ユニット――RELAY-Gがブレシングへと襲い掛かった。 ブレシングは銃剣でこれを防ぐが、前からはブレードを振るうリョウガも向かって来ている。 最初のときと同じ構図だ。 「くッ!? やっぱりキツイなッ!」 「()を上げてる場合じゃないぞ。ここからちょっと本気でやってやる」 リョウガがそう言うと、RELAY-Gと彼の攻撃がさらに激しさを増していった。
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