収束

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最後の質問が終わり、黒曜さんが意を決したように問い掛けた。 「それで…あの主犯格の男はどうなったんですか? 何故今頃になって銀波を? 攫ってどうしようとしてたんですか?」 まだ全容が解明してないから本当は喋っちゃダメなんだけど…と前置きした中澤課長は 「人狼の刑務所に連れていかれたよ。 余罪も山程あるから、ひとつひとつ潰していって裁判にかけられる。 証拠は全て揃っているからな。 人狼警察は優秀なんだ。 経営してた会社が、秘書の裏切りで…資金を全て持ち逃げされて倒産したのが2年前。 それから絵に描いたような転落ぶりで、ヤバい仕事をしては食い繋いでいたそうだ。 そんなある日、人狼の噂を聞いて白磁さんと銀波ちゃんのことを思い出した。 『売れば金になる』と。 そこで人狼の子供を誘拐して売り飛ばすビジネスを思いついて始めたんだ。 ところが次第にこう思うようになってきた。 『自分の血が人狼に流れているのは許せない、断絶しなければ』 そんな思いに駆られて、四方八方手を尽くして白磁さんが亡くなったのを知り、銀波ちゃんの行方を捜していた所へ、偶然街で買い物をする君達3人を見かけた。 『俺は何てツイてるんだ。 妊娠してる人狼は研究機関に売ってやろう。 これもデカい金儲けになる』 銀波ちゃんばかりか、葛西、君もターゲットだったんだよ。 それからチャンスを狙ってのあの事故だったんだ。 本当は軽い接触事故にするつもりが、あんな大事故になってしまった。 葛西は瀕死の状態で連れて行けず、銀波ちゃんだけを攫い… 今夜海外へ高飛びするつもりで、行きの船から銀波ちゃんを海に投げ捨てようと、他の子供達とは別にケージに入れてたんだ。 …極悪犯だな。情状酌量の余地なし。 恐らく…極刑は免れないだろう。 人狼社会は人間のそれと違って滅茶苦茶厳しいからな。」 一気に話し終えると、課長は大きく息を吐いた。
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