かくれんぼ

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かくれんぼ

「どこー? どこにいるのー?」  バス停前の公園から幼い声が聞こえて来て、僕はふと振り返った。 5歳くらいの女の子が誰かを探している。 「たぁくん、どこー? もう暗くなっちゃうよぉ」 女の子の声がだんだん心細そうに小さくなっていく。 僕は停留所を離れ、公園へと向かった。  僕が女の子に声をかけようとした瞬間、若草色のペンキで塗られた柵の向こうでガサゴソと音がした。 「あっ、たぁくん!」 植え込みから男の子がひょっこりと顔をのぞかせると、女の子は嬉しそうに駆け寄っていく。 「降参か? オレの勝ちだな!」 「ずるいよ、たぁくん! 公園の外に隠れるなんて。見つけられないよ」 「中から見える位置ならセーフなんだぞ」 「柵の外はダメだもん! それより早く帰らないと、ママに怒られちゃう!」 二人は言い合いをしながらも仲良く小走りに駆けていった。
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