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夜中に目が覚めると、目の前にお母さんがいた。綺麗で、優しい僕のお母さんだ。
「せっ君、落ち着いて聞いてね。お母さんはお父さんのことがとても好きだけれど、ここではない遠くで住むことになりました」
いきなり何を言っているんだろう。言っている意味がよく分からない。
「すでに、お姉さんのなゆちゃんにはこの事を言ったのよ。なゆちゃんは、お父さんといるって。お父さんを、一人にするわけにはいかないからって」
なゆちゃんは、僕と違い人の気持ちが分かるとても優しい子だ。残されたお父さんのことを、考えての判断だったのだろう。
「せっ君、あなたはどうする?決して無理強いはしない。なゆちゃんと一緒に、お父さんの所に残る?それとも、それともお母さんと…」
急に言われても、どうすればいいのか僕にはよく分からない。
「僕は、僕は…」
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