あにばーさりー

　三年生の新学期が始まりました。

　生徒は男女別、出席番号順に席が並べられて着席します。でも、たまたま生まれ持った名字や性別に何の意味があるんでしょう。
　どうせ後々視力や身長によって席を変えて行くんだから、最初から考慮して席分けすれば無駄が少ないと思うんですけどね。
　まあ僕はと言うと、眼鏡をかけており視力が良くないです。出席番号順で言うと大抵前の席になるのが、数少ないメリットでしょうか。
　「また何か小難しい、かつ意味のないこと考えてたんでしょう」
　隣の席から僕の心を読んだかのような突っ込みが入りました。彼女は一条那由多、通称なゆちゃん。僕の双子の姉です。三年生から、同じクラスとなりました。成績がものすごく良いわけではありませんが、僕にとって理解し難い人の心というものが感覚で分かるらしい。生まれた頃から場の空気を読むことに長けた姉は、男女問わず多くの友人がいます。実際、幼い時から彼女にフォローしてもらったことも一度や二度ではない。名字が同じで隣の席になれたことが、出席番号順で振り分けるもう一つのメリットでしょうか。

　そうそう、出席番号順と言えばですが…。