あにばーさりー

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 彼とはすぐに仲良くなって、「たっ君」「せっ君」とあだ名で呼び合うようになりました。また、よそよそしく敬語で話してくることもなくなりました。姉のなゆちゃんも含め、3人で色んな所へ行き色んなことをして遊びました。  たっ君はおっとりした性格で、人間関係は基本広く浅く。実家が宇賀神家と言うこともあり、人に嫌われると言うことはまずなかったのですが…。  「宇賀神と一条って、いっつもくっついてるよな。あやしーなぁ、ホモかぁ?お前ら」  中にはこう言う輩もいます。彼の名前は武市金之助くん。クラスのガキ大将的存在で、いわゆる一つのジャイアンですね。  僕に対してももちろんですが、基本はたっ君に対して顔が女みたいだの仕草が女みたいだの弟が白豚みたいだの。よくまあ、毎日飽きもせずに突っかかると思います。当の本人は、全くもって気にしてませんでしたが。流石にいじめではないか、先生に報告しようかとなゆちゃんに相談すると…。  「やめときな。あれは完全に、たっ君のことが好きでやってるって。可愛さ余って〜ってやつ。やだね、そんな事してても一生想いが届くことなんてないのにさ」  これまた、容赦もない答えでした。僕にとっては、色々と驚きの連続です。武市くんがたっ君を好きなこと、好きの裏返しで意地悪をすることももちろんですが…。  「本当に、一生想いが届くことはないのかなあ」  「そりゃそうでしょ。あんたの好きな算数で例えるなら、マイナスにプラス掛けても一生プラスにならないんでしょ?マイナスって中学の数学から習うんだっけ、知らんけどさ。とにかくそういうこと」    そう言うもんなんでしょうか。揚げ足を取るようだけど、仮にたっ君が武市くんのことを嫌いならマイナスとマイナスでプラスになる…?  まあ、たっ君の性格から人を嫌うなんてことはないでしょうし。仮定の話をしても、仕方がありません。
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