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夏も終わり、日暮れが早い。
アイスも食べたせいか、風が吹くと少し肌寒かった。
「まあ、じっちゃんの一生の約束は、……あと来世と、来来世の一生の約束。これはこれで助かったかな」
と、じっちゃんが呟いた。
「どないやろ。母ちゃんが『飼ってもええ』っていう為に使ったから……」
「……やっぱり、そうか ……あかんか ……次の人生と。次の次もか」
じっちゃんはガックリと肩をおとした。
「もったいなかったな」
「……無駄遣いやな」
「そやね」
風がピューっと吹いた。
「でも、一生のお願いがなくても大丈夫や」
わいはじっちゃんを見上げて言った。
「……役立たずやで」
「じっちゃん、一生のお願いがなくても、じっちゃんは、わいのじっちゃんやで」
「そうか……」
「うん。そうや。次の一生も、次の次の一生もわいのじっちゃんやで。だから大丈夫や」
「……そりゃ、えらい大変やのう」
といって、じっちゃんは笑った。
わいは久しぶりにじっちゃんと手を繋いだ。
「帰ろう、じっちゃん」
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