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家に帰って、晩ごはんは食べ、お風呂に入り終わって一人になった時、ふとミケハムスターのことを思い出した。
「……ミケ」
モフモフ、コロコロのミケ。
「そや!」
わいは閃いた。粘土で作ったろ。
そう思ったわいは、机の引き出しにあった紙粘土を取り出した。ちゃんと、茶色と黒の絵の具も取り出して紙粘土に混ぜる。だってミケやからな。それから一生懸命捏ねた。捏ねて、捏ねて、付けて、叩いて、重ねて、削って。なんなく形っぽくなってきたけど、なんか足らんな。
ふと、棚にあったビー玉に目が止まる。
「コレや!」
ミケのつぶらな瞳を思い出した。
一生懸命、目玉にビー玉を入れる。
できた……。
「……」
何かに似ていると思った。が、ここはあえて考えないようにする。
その時、後ろを通った姉ちゃんが呟く。
「ゲッ!なに? あの不気味な置物作ってんの」
…………やっぱりそうか。
わいは、置物を手に持って
「……ミケ」と呟いたが、
「……」
返事はなかった。
「そや!」
わいはまた閃いた。
ミケの置物に柏手を打ち手を合わせる。
「どうぞ、おじいちゃんを守ってくれますように」
そして、わいは疲れて早くに寝ていたじっちゃんの枕元にそっとミケを置いた。キラリとガラス玉の目がひかる。
「今日はありがとう、じっちゃん。これあげるわ。お守りやで」
翌朝。
「ギャーーー、ネ、ネズミやーー。化けて出おったーー!!」
わいは、じっちゃんの絶叫で目が覚めた。
FIN
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