2章. 見えない捜査線

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〜新宿歌舞伎町〜 実はあまり遊ばない真面目な淳一。 歌舞伎町になど、全く慣れてもいない。 「さすがに夜の歌舞伎町は、警察が来る場所じゃねぇな💦」 人は不安になると、独り言を言い出す。 「クラブ『ビューティナイト』これか!」 「いらっしゃいませ〜お疲れ様です」 いきなり美女2人のお出迎え。 焦る淳一💦 「あ、いや、まぁ…入るしかないか」 警察手帳を出せる雰囲気ではない。 さらに、会うのはヤクザの蔵島組長である。 「く、蔵島組長はいるか?」 その声に、一瞬空気が張り詰める …かと思った。 が… 「なんだ、蔵ちゃんのお友達なのね〜」 「いや、お友達じゃないんだよ…💦」 (蔵ちゃん?なんなんだ、全く) 「こちらへどうぞ」 案内される前ままに、2階へ上がる。 フロアの両サイドには、黒服が2人。 「ほらほら、気にしないでこちらへ」 決してヤクザが怖いのではない。 店の華やかさと、ホステスが苦手なのである。 「蔵ちゃん、お友達ですよ」 「バカヤロウ、その呼び方やめろって」 奥のテーブル席に、蔵島満がいた。 「お楽しみのところ、悪ィな、俺は…」 警察手帳を出しかけた時、直ぐ右の部屋から出てきた女性とぶつかり、手帳を落とす。 「あら、ごめんなさい」 慌てて拾うその横を、見慣れたミニスカ&ハイヒールが通り過ぎた。 (まさかな…) 「蔵ちゃん、またなんかやらかしたの?」 そう言いながら、隣に座り脚を組む。 「はぁ〜⁉️」 思わず叫んだ淳一の目が点になった。 (あっ…いやまてよ、潜入捜査ってやつか?) 「警視庁刑事課の宮本だ、加藤吾郎について話を聞かせてもらおうか」 とりあえず、潜入捜査を前提とした淳一。 「まぁ、座れよ刑事さん。神さんからあんたの話も聞いてるよ」 (そう言えば、飛鳥組の傘下とか言ってたな) 昴の話を思い出した。 「加藤の奴、またなんか迷惑かけたのか?」 「えっ、あ、いやそうじゃないんだ」 どうにもこうにもやり難い。 「アイツは音は優しいんだが、喧嘩も弱いくせして、短気でいけねぇ」 「多分だが、昨夜死んだんだよ、爆発で」 「何?冗談はよせや…」 「本当だ。殺された…多分な」 「な〜んだと⁉️加藤が殺されたぁあ⁉️」 不意に胸ぐらを掴まれ、持ち上げられる淳一。 「誰だ❗️殺ったのはどこのどいつだ❗️」 (なんでこうなるかなぁ…咲さん!) 「蔵ちゃん、ちょっと落ち着いて、放しなさいよ、それじゃ喋れないじゃない」 (演技うまっ❗️)呆れる淳一。 「クッ、すまねぇ、つい」 その時。 「蔵島組長ってのは、いるか❗️」 聴き慣れた声がした。 「えっ、どうなってんの、あっ、上に」 ホステスが慌てているのが分かった。 聴き慣れたヒールの音。 「なんだ淳、いたのね」 「えぇェええ〜⁉️咲さん💦なんで❗️」 「あらら、お姉さん」 「あらら、美夜!どうしてここに?」 「私のお得意様なのよね。あっ、蔵ちゃん、これが、姉の咲警部」 「マジか〜⁉️」×2(淳一&蔵島組長) 双子の姉妹、鳳来咲と鳳来美夜。 妹の美夜は、岩崎建設の営業をしている。 なんだかんだありながら、必要な情報は得た。 「いや〜驚いたぜ、美夜。そっくりだな」 「美夜ぁ、あんたの奢りね❗️」 「冗談でしょ!咲すっごく飲むじゃない❗️」 「加藤の(とむら)い酒よ!俺が奢るぜ」 「さっすが組長!太っ腹ね、気に入った❗️」 「咲さんダメっすよ、警察がヤクザに…」 「ごちゃごちゃうるさい❗️飲め、淳!」 潜入捜査など、やるわけがない。 酒にヤクザも警察も関係ない。 …それが、鳳来咲なのである。
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