2章. 見えない捜査線

6/6
189人が本棚に入れています
本棚に追加
/41ページ
〜東京足立区〜 咲が絶好調になった頃。 閑静な住宅街を最終のバスが走っていた。 「おやすみ〜」 運転手の声に、返事はない。 (あまり見かけない客だな…) お客はあと女性が1人。 いつも一番後ろの席に座る。 そして、いつも次のバス停で降りる客である。 バス停が見えて来た。 (さて、今日の仕事も終わりだな) 誰もいないバス停へ、ゆっくり寄せ、ブレーキを踏み込んだ。 「ドドーン💥❗️」 突然バスの後部が爆発し、車体の後部が浮き上がる。 辺りの家の明かりが一斉に灯る。 運転席は無事である。 慌てて後ろを見た。 が…そこにあの女性はいない。 いや。 正確にはいた。 ただ…人の姿ではなくなっていたのである。 〜警察官対策本部〜 「紗夜さん、写真の2人見つけました」 「久米山勝(くめやままさる)と宮崎美穂」 そこで、刑事課の電話が2つ鳴った。 (昴外線へ) 「はい紗夜です」「はい警視庁刑事課」 「紗夜さん、咲さんの電話繋がらなくて。浜田智久のDNAが一致しました。咲さんに伝えてください」 「分かりました。連絡ありがとうございます」 (7人目…か) 鑑識班からの電話を聞きながら、昴の心に集中していた紗夜。 「女性?男性?」 「女性だそうです。バスの最後部に座っていて、爆破されました。運転手は無傷です」 「宮崎美穂…ね」 「住所とバス停の位置からみて、間違いないと思います」 「私は鑑識班と現場に行くから、昴は久米山勝を探して!」 走りながら電話を掛ける。 「紗夜です、今から鑑識班と科捜班の出動お願いします。正面玄関で!」 階段を降りながらもう一本。 「もしもし、淳❗️咲さんは?」 背後の声が聞こえた。 (ダメか…) 「紗夜、ちょっと今夜は無理だ」 「分かったわ、咲さんをお願い」 (何とかして、あと1人は守らないと!) (彼は無事です。今は府中刑務所にいます) 紗夜の頭に、昴のが届いた。 (刑務所?) (詳しいことは調べて、また後で) 玄関で鑑識班・科捜班と合流した。 「足立区のこの住所へ!」 携帯に表示させて、運転手に渡す。 「バスが爆破されて、女性が1人犠牲に!」 警察の捜査も虚しく、事件は犯人の計画通りに運んでいた…かのように思われた。
/41ページ

最初のコメントを投稿しよう!