2章. 見えない捜査線

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咲は、浜田智久の調査にあたった。 派遣先での働きぶりは良く、同じ会社で契約を更新しており、正規採用の予定と聞いた。 事故の話を聞いた職場のショックは本物で、怨恨の手掛かりは全く見当たらない。 職場で慰留品を見せ、当人であることはまず間違いないが、念の為鑑識班を連れて、派遣会社が契約している浜田智久のアパートを尋ねた。 ミニスカ&ハイヒール&黒サングラス。 (いぶか)しげに咲を見る管理人。 警察手帳を見せても、信じたかどうか怪しい。 管理人に鍵を開けてもらう。 「彼女とか友人はいましたか?」 綺麗に整理された部屋である。 「いや〜見かけたことはないなぁ。ここの住人同士も、あまり交流はないですしね。でも、浜田さんは、ちゃんと挨拶はするし、いい方でしたよ」 鑑識班が、髪の毛や歯ブラシを袋に入れる。 「あ、終わったら声掛けますね」 管理人を追い出す。 気になったのは、卓上の写真であった。 (大学…か。なるほどね) 親しげに映る男3人と女1人。 もう1人の犠牲者、加藤吾郎がいた。 さりげなくバッグに入れる。 (あとは…と、これかな) ノートパソコンを外し、バッグへ。 「咲警部…」 「調査のためよ、何かかしら?」 「い、いえ、何も💦」 鑑識班でも、咲の怖さは知っている。 「さぁて、撤収!結果出たら、直ぐに教えて」 管理人に鍵を返して車に乗る。 さっきの写真を携帯で撮り、昴に送る。 「あ、もしもし昴、今送った写真の…多分まだ生きてる2人。住所調べて保護よろしく」 「分かりました。淳さんは、加藤吾郎がいた蔵崎組に会いに、新宿歌舞伎町のクラブ『ビューティナイト』へ行きました」 「分かったわ」 (ビューティナイト…美しい夜…💧趣味悪ぅ) 「もうそんな時間か。ついでに飲みに行くか」 呟いて、夜の新宿へと走り出した。
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