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「いつから掲示板が消えたんだろう……そのお陰で呪いも消えたってことか? K師が意図的に呪いを解除したのか、それとも力が無くなってしまったのか……」
「……何かファンタジーなこと言ってる途中でわりーけど、結果良かったじゃん。呪いは解けたってことだろ」
「そ、そうだな」
あっけらかんと話す美馬に乾いた笑いで答える。そうだ、美馬の言うとおりこれで良かったんだ。これで一件落着……。
「……一件落着になんて、できるわけねぇよな……」
「え?」
「だって……俺のせいで美馬は死ぬかも知れなかったんだぞ!? 結果助かったとしても、美馬に物凄い怖い思いをさせてしまったんだ……!!」
「事故に遭ったのはお前のせいじゃねぇだろ。新木がお前を突き飛ばしたって話も、ちゃんと聞いてる」
「違う……そもそも俺が、呪いなんか頼まなきゃこんなことには……」
涙が溢れ出す。自分の愚かな行いを、悔やんでも悔やみきれない。
震える俺の左拳を美馬の右手が被い、そして強く握った。
「もう呪いだなんて、思ってねぇよ」
たった一言だったが、やけにストンと胸に落ちてくる言葉だった。
そうだ。俺も同じ気持ちだった。美馬と過ごした時間も、変化した美馬との関係も。呪われたものだなんて、思っていない。
それくらい俺にとって美馬は、既にかけがえのない存在になっていたんだ。
「――和哉……!!」
母親の涙声が聞こえたのは、それから程なくしてだった。
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