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「お待たせ。出張者用フロアはどうだった?」
「結局、席が空いてなかったから、カフェテリアに行ってた」
狭間さんと別れてから、しばらくカフェテリアで時間を潰し、五時半に一階ロビーに降りて吉岡君と合流した。吉岡君は同期だから、タメ口で話しても許されるのが気楽でいい。新人研修の時は、大勢の同期がいてみんなでわいわいしていたけれど、工場の総務部に配属されてからは、先輩や上司としか話をしていないから、久しぶりの解放感。
「どこに行くの?」
「仲通りをちょっと歩いたところにある、オープンテラスのイタリアン。ランチで何回か行ったけど、ピザがめっちゃ旨いんだぜ」
「うわー、楽しみ」
やっぱり都会はいいなあ。工場だと、課長や先輩から「帰りに寄って行く?」なんて言われても、駅前の焼き鳥屋とか居酒屋ばっかりだし。
「着いたよ」
赤レンガの建物に囲まれた、緑がいっぱいの中庭に面したテーブルで、みんなワイングラスを傾けながら楽しそうに話している。なんて理想的な花金シチュエーション。吉岡君のような、元気だけが取り柄の一見パッとしない人でも、さっとこんなお店に連れて来てくれるなんて、都会の魔力はすごい。
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