3 次の約束

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 グラスワインが届き、料理もオーダーできたので、あらためて店の中をぐるりと見渡してみる。内装はシンプルで、飾ったところはないけれど洗練されていて、来ているお客さんも絵になる人ばかり。 「こんなお店でランチとか、いいよねー」 「来週から、早めに来て、ランチも食べてけば?」  どうだろう。会議が始まるのは二時だから、今日は工場の社員食堂でお昼を食べてから移動して来た。こっちでランチするなら、午前中から出てこないといけなくなる。 「さすがに、二時の会議で午前中から出てくるのは、課長が文句言いそうかな」 「なら、一時まで食べないで待ってるよ。昼休み中に移動してくればいいだろ」 「え」  確かに、それなら文句は言われないかも。でも、昼休みが終わるまで待たせるなんて。 「お昼がそんなに遅くなったら悪いし」 「いいよ。一緒に食べられるなら、その方が楽しいから」  キラキラした目で、じっと見つめられて、不覚にもちょっとドキッとした。え、もうワインがまわってきてる?
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