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丸の内の本社ビルの隣に着くと、運転手さんはスマホでイケコンと連絡し始めた。この前と同じように、リモートから支払いが済むと、運転席を飛び出して後ろのドアを開けてくれる。
「行ってらっしゃいませ」
「ありがとうございます」
何度乗っても、この対応には慣れないから、ドギマギしてしまう。
選択の期限は、十八時半。それまでに、二人は待ち合わせ場所にスタンバイしていて、私がどちらかに行く。そして、選ばなかった方には、電話でお話をするつもり。
今まで、入試とか入社試験とか、人に選ばれることは散々経験して来たけれど、人を選ぶというのは初めてだから緊張する。選択すること自体は、自分の決断だから何も迷いはないけれど、それをきちんと説明して、納得してもらえるのか? 何を基準に、どう判断したのか。それが私に取っても、相手に取っても最善だと言えるのか。選ばなかった方にも、選んだ方にも、話ができるのか自信がなかった。
説明する責任がある、なんてかっこいいこと言ったけど、ちゃんと言えるかな……
まだ、十五分ほど時間があるので、ビル一階のカフェに入ってカフェラテを注文した。温かい物を飲んで、心を落ち着けないと、とてもじゃないけど居られない。
イケコンは、ビルの最上階。吉岡君は地下にいるはず。
対照的なようで、実はよく似ているのかもしれないな、あの二人。
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