32 選択の日

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 電話を切って立ち上がると、判定時間を過ぎていた。ある程度予想はしていたけれど、それ以上にじっくり話をすることになってしまった。でも、そのおかげで、きっちり踏ん切りを付けることができたから、良しとしよう。  カフェを出て、向かいにあるエレベーターに乗り、待ち合わせ場所に向かうと、入口から入ってすぐの受付の横で、彼が待っているのが見える。 「お待たせ」 「ああ、来てくれたんだ。時間を過ぎても来ないから、もうダメかと思ってた」 「ごめんね。まず向こうに電話して話をしていたから。遅くなっちゃった」 「狭間先輩は、なんて言ってた?」  吉岡君にも、ちゃんと話をしておかないといけない。 「あのね、出る前に、ちょっと話したいんだけどいいかな」 「うん。いいよ」  ロッカーとシャワールームにつながるラウンジには、ベンチが置いてあるので、そこに座って話し始める。 「あの日、最後のデートでここに連れてきてくれたよね」 「うん」 「いきなり、走りに行こうって言われた時は、何のことかと思ったけど」  そう。美味しいものを食べに行くでも、きれいな景色を見るでもなく。
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