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電話を切って立ち上がると、判定時間を過ぎていた。ある程度予想はしていたけれど、それ以上にじっくり話をすることになってしまった。でも、そのおかげで、きっちり踏ん切りを付けることができたから、良しとしよう。
カフェを出て、向かいにあるエレベーターに乗り、待ち合わせ場所に向かうと、入口から入ってすぐの受付の横で、彼が待っているのが見える。
「お待たせ」
「ああ、来てくれたんだ。時間を過ぎても来ないから、もうダメかと思ってた」
「ごめんね。まず向こうに電話して話をしていたから。遅くなっちゃった」
「狭間先輩は、なんて言ってた?」
吉岡君にも、ちゃんと話をしておかないといけない。
「あのね、出る前に、ちょっと話したいんだけどいいかな」
「うん。いいよ」
ロッカーとシャワールームにつながるラウンジには、ベンチが置いてあるので、そこに座って話し始める。
「あの日、最後のデートでここに連れてきてくれたよね」
「うん」
「いきなり、走りに行こうって言われた時は、何のことかと思ったけど」
そう。美味しいものを食べに行くでも、きれいな景色を見るでもなく。
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