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「皇居ランって、一周するの?」
「そう。ぐるぐる何周もする人もいるけど」
「一周って何キロ?」
「だいたい五キロ」
五キロといったら、結構な距離がある。まともに長距離ランをするのは、高校で陸上部をやめて以来かもしれない。
「いいよ。走ろう」
「初回は会員登録がいるんだけど、免許とか持ってる?」
「大丈夫。持ってる」
「じゃ、受付は地下だから。行こう」
カフェを出て、地下につながるエスカレーターの前に歩いて来たので、吉岡君の後ろで立ち止まった。
「ねえ。これから走りに行こうって人が、エスカレーター乗ってちゃダメでしょう。階段よ、階段」
「え、階段?」
「決まってるでしょ」
エスカレーターの隣にある階段を、どんどん降りていくと、吉岡君もあわててついてきた。
「ノリノリで良かった。ドン引きされたら、どうしようかと思ったけど」
「久しぶりに走るって思ったら、なんか元気になってきた」
地下街をまっすぐ進んで、お店のあるエリアから少し離れた場所に、ランニングベースと書かれたガラス扉があった。中に入ると、スポーツジムのような受付。
「一人、新規入会でお願いします。自分は、これが会員証」
「はい。ではこちらの申込書に記入いただけますか」
バインダーに綴じた紙を渡されるので、名前や住所を記入する。
「ウェアとシューズのレンタルを二セットお願いします。あと、靴下も一足は購入で」
「はい。シューズのサイズは何センチですか?」
「遠藤さん、靴のサイズはいくつ?」
「あ、スニーカーなら二十四センチかな」
書類に記入している横で、吉岡君はテキパキと手続きしている。会員証も持っているし、よく来ているのかな?
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