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4 ホームグラウンド
「あー、遠藤さん。財形貯蓄の申込書が切れてるって。補充しておいて」
「はーい」
月曜日。週明けのだるい体を騙しだまし出勤し、制服に着替えて席に着いた途端、課長に言われてしまった。先週の金曜日は午後から出かけていて、伝票の棚をチェックしなかったからな。他の伝票も、少なくなっているのがないか見ておかないと。
夢のような金曜の午後は、週末を過ぎて、はるか昔の思い出になってしまった。今は目の前の現実に向き合うのだ。頑張れ、私。ふう。
書類棚の引き出しに、ストックの箱から出した伝票を補充していると、寺崎先輩が通りかかった。入社六年目。二十八歳独身。総務部の女性社員の中では私の次に若いけれど、頼りになる先輩。
「佳奈ちゃん、本社はどうだった?」
「はい。教えていただいた出張者席に行ったんですけど、いっぱいで使えませんでした」
「そう。金曜の午後は、出張で立ち寄る社員が多いのかもね」
半分くらいの席は、上着や荷物が置いてあるだけだったから、とりあえず確保して、どこかでお茶している人も多そうだったけど。
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