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さっき提出してきた提案書のコピーを手に、共有スペースに移動する。缶ビールとつまみを取ってスタンドの前に立ち、プシュッとフタを開けてグラスに注ぎ、顔の高さに掲げて目を合わせた。
「初の契約を祝って」
「遠藤さんのコンサルタント人生の始まりを祝って」
「乾杯!」
この達成感と、このビールと、このイケメンと。
ああ、幸せ。
あ、吉岡君からメッセージが来た。
『初の契約獲得、おめでとう。今日も帰りは遅くなりそう?』
さっき、英里紗に連絡する前に、メッセージを送っておいた。まだ契約獲得したわけじゃなくて、手続きを進める承認が出ただけなんだけどね。
『今日は早く帰る』
『よし。今日はお祝いしよう。世田谷久井で、生ハムとかチーズとか買って帰るから、ワイン開けよう』
一緒に暮らすようになってから、すっかりうち飲みが増えた。私は、いつ給料が入らなくなるかわからない身だし、吉岡君もまだ三年目。お互いに貯金をしているから無駄遣いはできない。
「泰造からですか?」
「あ、はい。家に帰ったら、お祝いしようって」
「それはそれは」
苦笑いしている。
イケコンには、もし吉岡君が気に入らなくなったら、すぐに切り替えましょうと言われているけど、今のところ大丈夫そう。掃除でも、洗濯でも、なんでも吉岡君は積極的にやってくれるから、同棲生活に何も不満はない。
もしかすると、昼間イケコンと一緒にいることが、牽制になっているのかな。
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