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“レベルと使用武器と能力の数によって難易度が変化するクエスト”
正確には“プレイヤーレベルと保有する武器・能力それぞれの数値の乗算によって出された数値によって難易度が変化するクエスト”
私が初めてこのクエストに挑んだときのレベルはおよそ7,000、保有する能力数は5。よってその指数は35,000。
伊鶴さんのレベルは2,100。保有する武器と能力はそれぞれひとつずつ。クエストへ行く前に私が念のためにと渡していた虹玉も含めると保有アイテムは2。つまりクエストに挑戦した時点での指数は6,300。その数値の差が彼女が挑んだクエストの過酷さを物語る。
胸に取り付けた制命栓によって普段の七分の一程に抑えられているレベルは1,000。虹玉も含めた今の私の指数は6,000。伊鶴さんと同じ条件でこのクエストが持つ真意を導き出す。その強固な決意と共に開戦の合図を待っていた。
防御柵を隔てた先の広大な平原に現れる人影。目で捉えたその影はそれと同時に目前に現れたディスプレイによって遮られる。
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〘一揆当千クエスト〙
〔クエスト達成条件〕
・全ての侵攻を退けた上で一揆軍の残存兵数半数以上
〔フェーズ進行条件〕
・幕府軍を半数以下まで減らすか、夕刻時点で一揆軍の残存兵数半数以上
〔クエスト失敗条件〕
・一揆軍の残存兵数が半数未満となった場合
〔進行上の注意〕
・戦闘エリア内に必ず一名以上のプレイヤーを配置してください
・プレイヤーは特定条件を満たさない限り幕府軍へ攻撃することは出来ません
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いつもと変わらない説明文にこれまで無かった注意書きが加えられていた。
『プレイヤーは特定条件を満たさない限り幕府軍へ攻撃することが出来ない』
能力を封じられるという意味でしょうか。可能性を思案しながらしばらく待っていると表示が切り替わる。
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〘一揆当千クエスト〙
(β) Age code:1638-1-24
▷一次侵攻
二次侵攻
三次侵攻
四次侵攻
最終侵攻
一揆軍:37,000人 幕府軍:10,000人
〔戦闘開始〕
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平原に鳴り響くブザー音が戦いの幕が上がったことを知らせる。
視界の端には何かの数列が浮かんでいた。刻々と変化するそれが何かのカウントダウンをしていることはすぐに理解できた。
0:59:55
一時間刻みであることは分かるがそれ以外な全くの謎。とりあえずは放っておいても大丈夫でしょう。
もう一つの問題を探るため先の画面をもう一度描き出す。そこに描き出される五次侵攻の四文字。これまでであれば一次侵攻で終わりだったはず。敵の数はどうなる。ボスのレベルは?
いや。先のことよりも目の前のことから片付けていきましょう。
開戦の合図に合わせた敵の一斉射撃。無数の矢と銃弾がこちらに向かって走る。しかしそれらはひとつとして私達に届くことはなかった。
防衛柵を覆うようにその前に現れた何枚ものガラスの壁。それは空の色を映したような水色をしており、半透明で透けたその先にはその壁に辺り力無く落ちていく銃弾が見て取れた。空を見上げると矢の軌跡が頂点を超え降り始める辺りにも同じような壁が作られている。
【スクエアボックス】
幅・高さ・奥行きそれぞれの長さを指定し、指定した大きさの空洞の箱を作り出す能力。表面積を大きくすることで強度を上げることができますが、能力を持たない雑兵程度の攻撃であれば1cmもあれば充分です。
何より強度も上がりますが使用する命力も増えますからね。
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