返事

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返事

 ハルは、おじいさんからの手紙をカバンの中から取り出し、おじいさんに問いかけるように読んだ。 「……あなたは今どこにいますか?」  手紙をしばらく見つめてから半分に折ると、両手で宝物のように持った。そして、瞳を閉じて自分のおでこに手紙を当てて、顔を下に向けると 「おじいさんの書いてくれた物語の役、必ず完璧に仕上げて演じます。だからどうか、見ていてください」 と呟いた。  その時、葉擦れの音がした。  顔を上げると、福寿草の花がふと目に入り、4年前に見た時よりも沢山咲いている事に気がついた。  ハルは “ 黄色い幸せの花 ” をずっと見つめていると、自分はお芝居をする事が幸福な事なのだと確信した。  急に涙が溢れ出てきた。  日が暮れるまで、手紙を抱きしめながら、涙でぼやけて見える花をずっと見続けていた。
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